拡大教科書とは


拡大教科書とは


弱視教育は見えにくい対象や物を、無理に何とかして見させることではありません。
誰でも興味があるものは、近づいて手に取って見ますが、弱視児童生徒の場合も同じことです。
したがって幼児期から、近づいたり大きく提示することによって、見ることに対する抵抗感を少なくしたり、見ることに興味を持たせたり、楽しみながら学習することが大切といえます。

教育の基本は、この楽しみながら見て学習することにあるはずです。
弱視児童生徒の教育にとっても同様です。
自分で手に取って見る、楽な距離から全体を見ながら、必要に応じて近づき確認する、このような条件を満たすのが「拡大教科書」といえます。
特に、幼児期段階や小学生の段階では、見る抵抗ができるだけ少ない状況の中で、手にとって見て、確かなイメージや概念を獲得できるようにすることが大切です。
一般の検定教科書は、義務教育段階の子どもたちに給与されていますが、子どもたちにとっては、この検定教科書が見えにくく、使いにくいものになっています。
そのために「拡大教科書」の果たす役割は大きいものといえます。

以上、国立特殊教育総合研究所「プロジェクト研究報告書 C-43 弱視児の視覚特性を踏まえた拡大教材に関する調査研究」より、許可をいただき抜粋しました。

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拡大コピーではいけないの?


「文字や図表などが見えにくいのであれば、拡大コピーで大きくすれば良いのではないか?いまは、どこの学校にも、コピー機があるし、必要に応じて拡大の倍率を変えてあげれば簡単ではないか。教科書会社も、1.4倍、2倍、3倍の教科書を作ることができるのではないか?」

確かに、拡大すれば文字や図表は大きくなります。
例えば、10ポイントの文字を、1.4倍に拡大すると14ポイント、2倍なならば20ポイントの大きさになります。
視力0.1前後の弱視児童生徒の場合、見やすく分かりやすい文字は、22~26ポイント程度の大きさが必要であるといわれています。

すると、「拡大教科書」は、原本教科書の2倍程度の大きさにする必要があります。
大きさを2倍にするということは、面積では4倍になります。
いま、検定教科書の大きさはB5判が主体になっています。最近の小学校の教科書は変形のB5判も増えています。
これが4倍になるということは、新聞紙大の大きさになります。
これでは、机の上に広げることも持ち運びすることも困難です。

また、単純な拡大は、文字の大きさだけではなく、文字間、行間等の全てにおいて拡大されますので、余白の部分が多くなったり、図表等の説明文を探すのに時間がかかったりして、文章の読解や図表の確認などに困難を生することもあります。
さらに、教科書は、ほとんどがカラー化されており、カラフルな色彩が使われております。
色彩によって興味や関心を引き、認識能力を高める工夫がなされていますが、弱視児童生徒の中には、細かい色識別が困難な者もおります。
中間色が使われているとその識別が困難になり、学習意欲も向上しにくくなりかねません。
また、一般には、図表の下にその説明が書かれていますが、弱視児童生徒の場合、図表が先にくると、その図表を理解するのに時間がかかります。
これに対して、先に説明文があると、その説明文によって何の図表であるのか予測が立てられます。

教科書は、学習を理解する手段として必要であり、児童生徒にとって分かりやすいものですが、弱視児童生徒にとっては、必ずしも分かりやすいものとはいえません。
単に拡大すれば良いというものではなく、弱視児童生徒のニーズに合わせて編集・拡大することが必要といえます。

以上、国立特殊教育総合研究所「プロジェクト研究報告書 C-43 弱視児の視覚特性を踏まえた拡大教材に関する調査研究」より、許可をいただき抜粋しました。

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書体・字のサイズ


拡大教科書とは、文部科学省から供給される教科書が、何らかの都合により読みにくい方の為に、
その人個人個人に合わせて文字や図などを拡大して作り、お届けする教科書の事です。

拡大教科書は、利用者との相談を基本にして、読みやすさに配慮して制作されます。
具体的には、手書きによるものと、パソコンを利用して作るものがあり、いずれも利用者の見え方に合わせて、書体・字のサイズ・字間・行間・背景・色など、出来る限り希望に添うよう調節されます。

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拡大教科書を手に入れるには


①出版社の拡大教科書
 平成22年度から出版社が拡大教科書を作ることが義務付けられ、標準規格として拡大教科書が出版されています。詳しくは各出版社に問い合わせてください。
 
②ボランティアの作る拡大教科書
 ボランティア作製の拡大教科書は利用者との相談を基本にして、読みやすさ、使いやすさに配慮して作られます。具体的には、手書きによるもの、パソコンで編集するもの、白黒反転のもの等があり、いずれも利用者の見え方にあわせて、書体・字のサイズ・字間・行間・背景・色など、できる限り希望に添うように調節されます。

上記①②の拡大教科書を利用したい方は、まず学校の先生、教育委員会にご相談ください。直接協議会にお問い合わせいただいても結構です。その後の手続きの流れをお知らせします。

ボランティアグループは、拡大教科書の製作条件を利用者と確認して、製作に入ります。このように拡大教科書は個人に合わせて手作業で作られるため,製作に少し時間がかかります。前年の11月ごろまでに申請してください。 
  
拡大教科書は文字等が拡大されてページ数が増加し,原本1冊の場合で複数冊の分冊となります。
完成した分から順次利用者の方にお届けいたします。

協議会事務局への連絡先は、本サイトの<全国拡大教材製作協議会>ページの[連絡先]をご参照ください。

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拡大教科書依頼から納入までの流れ

拡大教科書依頼から納入までの流れPDFをご覧ください。

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